ロースターズレポートⅨ_こんにゃくの加熱特性,Thermal Behavior of Konjac During Heating
コーヒー焙煎の物理として水分の挙動を調べる基礎実験を行いました。参考にどうぞ。
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概要
コーヒー豆の焙煎について水分の影響を考察する。
コーヒー生豆は水分を約12%程度含むが、食品内部の熱伝導は含水率・組織構造・熱容量などに強く依存する。 水分の影響を調べるにはコーヒー豆は小さく硬く内部温度を直接測定するのは困難である。
そこで、取り扱が容易で水分含有量が高いこんにゃくを用いることを考えた。こんにゃくに複数の熱電対を埋設して鍋で加熱し、温度変化を調べることで水分が加熱時に与える影響を調べた。
測定結果から、高温の鍋に接していても、自由水を含む層があればそこは100 °Cで固定される。自由水が蒸発して失われると、その層は急速に100 °C以上へ上昇することが分かった。脱水した領域は時間とともに内部へ進行し、数分で水分の蒸発とともに内部が加熱されていくことが間接的に確認された。
【背景と目的】
コーヒー焙煎では水分を含んだ生のコーヒー豆を所望の温度に加熱する。焙煎の理解を深めるためにはその熱伝導に関して基本的な事項を理解する必要がある。
一般に、食品内部の熱伝導は、含水率・組織構造・熱容量などに強く依存する。
含水率の影響は水分の蒸発をともなうので、その現象をモデル化して理解することが望ましい。もっとも簡単には水分を多く含む物質を加熱して、その温度特性を調べるのが簡単である。にこんにゃくは水分含有量が高く、内部の自由水が加熱過程でどのように温度上昇を抑制するかを観察するのに適した材料である。そこで、こんにゃくの加熱特性を測定することで水分を含んだ材料系の特徴を調べることにした
【実験方法】
図1にこんにゃくの加熱特性を評価するシステムを示す。
約2cm角に切ったこんにゃくを鍋の上にテープで固定しガスで下から加熱する。こんにゃくと鍋には合計4本の熱電対を取り付けてあり、4か所の温度の時間データを取得した。熱電対はK熱電対を用い、固定はポリイミドテープで固定した。

図2に熱電対の設置場所の詳細を示す。
TC1;アルミ鍋の表面温度
TC2;アルミ鍋とこんにゃくの加熱界面。
TC3;加熱界面から4mm離れた場所。
TC4;加熱界面から10mm離れた場所。
カセットのガスコンロで弱く加熱し、点火後はガスの強さを一定に保ち、30分程度加熱しTC1~TC4の値を取得した。

【結果】
図3にTC1~TC4の測定結果を示す。横軸は経過時間で、約20秒の時点で点火しガス圧一定で約30分間加熱した。
TC1は鍋の表面温度である。加熱開始後に数秒で100℃になり、5分で200℃を超えて250℃で一定になる。加熱の火力は鍋温度250℃が平衡温度である。
TC2は鍋とこんにゃくの界面である。加熱後数秒で鍋表面と同じ昇温速度で、約1分で100℃に達する。その後、100℃をキープして3分30秒から急激に立ち上がり、ゆっくりと上昇を続ける。20分を超えるとさらに急な上昇に変わり、TC1に近づく。
TC3は、界面から4mm離れたこんにゃくの温度である。加熱開始してもTC2よりも遅れて立ち上がるが、3分ぐらいまでは急な速度で上昇し、その後ゆっくりと100℃を目指す。Tb1の時点でTC2は100℃を超え始めるが、TC3は、100℃を超えることはなく、28分になりTC3も100℃を超える。
TC4は、界面から10mm離れたこんにゃくの温度である。加熱開始してもTC3よりも遅れて立ち上がり、ゆっくりと100℃を目指す。実験中には100℃を超えることはなかった。

【考察】
図4に今回の状況を示す。
(1)はTb1までの加熱時間にあたる。アルミ鍋は急激に高温になるが、界面では水分の蒸発が行われ、蒸発が終わるまで100℃以上にならないことを示す。100℃をキープし、Tb1で急な温度上昇を伴うことからここで界面の水分蒸発が完了したと考えられる。
(2)では、界面の水分が蒸発しきって、界面は100℃以上になり、TC3を高温に加熱し始める。しかし、界面4mmにはまだ多くの水分があり、蒸発が完了しないのでTC3は100℃をキープする。その後、4mm地点の水分が蒸発しきると(3)へと移行する。TC4では実験を通じて100℃を超えることはなかった

図5に加熱後のこんにゃくの写真をしめす。界面付近は干からびている。
重さは、加熱前は7.7gであったが、加熱後2.6gになり、約1/3になった。多量の水分が含有しておりそれが蒸発したことを示す。
以上から、高温の鍋に接していても、自由水を含む層があればそこは100 °Cで固定される。自由水が蒸発して失われると、その層は急速に100 °C以上へ上昇することが分かった。脱水した領域は時間とともに内部へ進行し、数分で水分の蒸発とともに内部が加熱されていくことが間接的に確認された。

【まとめ】
こんにゃくに複数の熱電対を埋設して鍋で加熱し、温度変化を調べることで水分が加熱時に与える影響を調べた。
測定結果から、高温の鍋に接していても、自由水を含む層があればそこは100 °Cで固定される。自由水が蒸発して失われると、その層は急速に100 °C以上へ上昇することが分かった。脱水した領域は時間とともに内部へ進行し、数分で水分の蒸発とともに内部が加熱されていくことが確認された。

