味が出ない浅煎りコーヒーの対策~粉の挽目
浅煎りの抽出がうまく味が出ない
浅めの焙煎の珈琲を抽出して、なぜか味が薄い、甘さがなくて酸っぱい・・といった経験はありませんか?
深煎りや浅煎りなどの焙煎度合いによって最適な抽出条件が異なります。
基本は挽目とお湯の温度を調整します。
下記がその方向です・参考まで。
ドリップで抽出の場合
①ミルの設定を変える
浅煎り⇒細めに挽く
深煎り⇒粗めに挽く
②お湯の温度を変える
浅煎り⇒高くする(93℃ぐらいまで)
深煎り⇒低くする(80℃ぐらいまで)
①または、②を行って、不足なら両方でお試しください
参考情報
抽出条件を変える理由
コーヒー豆は焙煎に伴い、無数の小さな空洞ができます。
空洞の大きさは、深煎りになるほど大きくなります。
(下記参考資料)
空洞の中にはコーヒーのいろいろな美味しい成分が入っているといわれています。
コーヒーを挽いて粉することで空洞からコーヒーの成分を抽出しやすくします。
浅煎りコーヒーは空洞が小さいため、細かな粒に挽きます。
深煎りコーヒーは空洞が大きいなめ、大きな粒に挽きます。こうすることで、抽出時にお湯が成分を溶かす量がそろえられると考えられます。
下記の資料を参考にすると、空洞の直径差は2割ぐらいありそうなので、粉の直径で2割ぐらいの差をつけるとよいのかもしれません。
もちろん、試飲を重ねながら進めますが、理屈はこんな感じでしょうか。
また、深煎りの場合で細く挽くと、出てほしくない成分まで抽出されてしまうので苦くなりすぎたり、雑味が出たりしますので要注意です。
このような理由で、浅煎りは細め、深煎りは粗めが良いと考えられます。
お湯の温度も同様の理由と思います。

参考資料
中林先生の報告を以下に紹介させていただきます。
「焙煎によるコーヒー豆組織の変化,中林敏郎 鈴木邦男,日本食品工業学会誌 ,1986,vol33,No11,779-782」
写真2は、豆の断面で500倍のSEM写真 です。
内部は空洞からなるスポンジ状になっています。
焙煎が深くなるほど空洞が大きくなってつながっていく様子がわかります。
表1は、空洞の実測値でmmであらわしたものです。
特に、ライトローストは約2割ぐらい空洞が小さくなります。
・浅煎り(ライトロースト) 0.072mm
・深煎り(フレンチロースト)0.092mm
また、図4は焙煎進行に伴う豆の硬さを表しています。
焙煎が進行するほど脆くなることを測定したデータです。
(深煎り豆は、組織が脆いためお湯がしみこみやすくなり、抽出がしやすくなっていると考えられます。)


