ロースターズレポートⅩ_富士ローヤル1kg焙煎機 R101の排気特性の測定 ~Roaster’s Report X_ Exhaust Characteristics of the Fuji Royal R101 (1kg)

保有する半熱風焙煎機の排気特性の測定を行いました。参考にどうぞ。
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概要

 富士ローヤル R101(1kg半熱風式)の排気特性を把握するため、 ダンパー開度と排気量の関係、および 生豆投入による影響 を調べました。
結果
・ダンパー開度に応じて排気量は素直にリニアに変化し、風量調整の再現性は高い。
・ダンパー開度は1にしても完全密閉にはならず、全開時に対して22%の排気は行われている。
・生豆投入による排気量の減少はダンパー全開時に最大で3%程度。ダンパーを絞るとさらに差はなくなる。豆の投入に関して排気への影響は考慮不要。

 富士ローヤル1kg焙煎機(R101)を用いて自家焙煎のコーヒー豆を販売している。焙煎機の外観を図1aに示す。右が焙煎する部分で左下の部分は焙煎した豆を排出して冷却する部分になる。

 R101は1kgまでの焙煎が可能である。
半熱風焙煎機と呼ばれる構成で、焙煎機内部の構成の概要を図1bに示す。
鋳鉄製の回転ドラム内に豆が投入され、下からガスで加熱される。ガスによる熱は、強制排気により吸引されるため回転ドラム内に引き込まれ、熱風となって豆にあたる。
ドラムに触れることによる直接的な加熱と引き込まれた熱風による加熱が同時に行われる。この方式はコーヒー豆の個性を引き出しやすいといわれ、広く用いられている方式である。

 焙煎条件としてダンパー設定値があり、強制排気の量を変えることができる。ダンパーの構造は単純で排気経路の断面積を変えることで風量を調整している。


都合で2026年3月に焙煎機の設置場所を変えた際に、レイアウトの制約からサイクロンと外部煙突までの距離を4mから約1mへと短縮した。
焙煎機の排気は加熱条件に影響を与え重要なパラメーターの一つである。今回の排気経路の変更のタイミングで、基礎データとして排気特性を正確に測定した。併せてコーヒーの生豆を投入した際の排気特性へ影響も調べたので報告する。

排気系統

 図2に排気系統を示す。

 焙煎機には排気ファンが1基のみ搭載されて、ドラム内の排気とクーリングボックスの排気を行う。
同時には排気せず、切り替えバルブでいずれかを選択するようになっている。排気ファンに吸われて排気された後はサイクロンを通った後に煙突から屋外に排気される。排気ファンの回転数は固定であり50Hzのモーターである。


 最も簡単に排気量の風量測定を行うにはサイクロンの後に風量計を取り付ければよい。チャンバーからサイクロンまで排気経路に漏れがなければ、サイクロンから出る風量がチャンバー内の風量とみなせる。

一方で最も知りたいのはドラム内の正確な風量である。上記の方法では、排気経路に漏れがあると正確さに欠ける。

したがって、チャンバーに最も近い測定ポイント①で測定することが理想的である。
この場合、排気管を外し排気ダンパーの手前に風量計をつけて吸い込まれる空気量を測定することで、チャンバー内の風量とみなせる。焙煎中の測定は不可能になるが、風量のみの測定であるので焙煎中でなくても問題がない。

測定器とその取り付け

測定場所として①ダンパー前の風量を測定する場合の構成を図3に示す。

風量測定器は、ベーンタイプのBTMETER社BT-856Aを用いた。

ホッパーを外してその位置に風量計のベーンを取り付け、ダンパーに向かう風量を測定する。ダンパーを変えた風量の変化を直接に測定できる。

a)は取り付け前、b)は取り付け後である。
 ベーンの径はダンパーの口径とほぼ同じで全風量を測定するため測定器の外周をテープでふさいだ。 同様に測定場所として②サイクロン後の風量を測定する場合の構成を図4に示す。
サイクロンの出口には煙突に向かう排気ダクトが接続されており、測定はダクトを外して風量計を取り付けた。正確な測定のため風量計の外周はテープで塞いだ。

豆の投入による影響

風量の測定は基本的に豆が入っていない状態で行った。
しかし実際の焙煎では豆の投入がありチャンバー内で一定の体積を占める。
少なからず排気への影響も考えられるため、豆の有無による排気の変化を調べた。
 方法は定格容量の1.2倍の1.2kgの生豆を投入して、サイクロン出口で風量を測定し、豆を入れない状態と比較した。この時ダンパーを変えて風量変化の状況を比較した。豆の投入で排気経路が変化する場合はダンパーでの風量変化の依存性が変わるはずである。

ダンパーの効果

図3、図4の方法で測定した風量の結果を図5に示す。

①はダンパー前の風量 ②はサイクロン出口の風量測定値である。

 横軸はダンパーの開度を示し、数字が小さいほど排気経路が絞られることを示す。
左図の縦軸は風量の絶対値で CMMの単位となる。右図は最大風量を1として規格化した風量変化の割合を示す。

ダンパーによる変化は①の方が大きく最大値に対して22%~100%の変化がみられる。
②は80%から100%と変化が少ない。
一方、②サイクロン後では風量最大500CMMで、①ダンパー直前では最大210CMMで②は2倍の風量がある。

実際にコーヒー豆の焙煎中に問題になるのは①のチャンバー内の風量変化であるため①での測定値が重要である。

 右図を見ると、①ではダンパー位置3で40%、8で98%でその間はほぼ正確にリニアな変化を示す。焙煎中ダンパー位置による正確な風量調整ができていることがわかる。

1と2、8と9の変化が小さいのはダンパー構造に由来するものと考えられるが、排気特性として把握しておくべきである。
ダンパー1のもっとも閉じた状態でも22%の排気量があり、完全な密閉ではない。ダンパー8でほぼ100%開放であり、ダンパー9は実質的に機能しない。

 一方で、②サイクロン出口ではダンパー変化の影響が小さくなるのは、ダンパーからサイクロンの間で別の経路で気密の破れによる空気の流入があるためと考えられる。例えば、排気に使うモーターのファンは気密性を担保するものではないことや、切り替えバルブの密閉性、そのほか排気経路でのリークが考えられる。

いずれにしろ、ダンパーによる排気量の変化を確認するためにはサイクロン出口では正確に反映されないため、今回の測定①の場所で測定する必要があることが分かった。

豆の投入の影響

豆の投入による排気風量の測定結果を図6に示す。

 定格の1.2倍を入れても、排気への影響は少ない。ダンバー8以上でわずかに風量が下がる。これは、ダンパーでの抵抗が少なくなり豆の投入によるチャンバー排気経路の減少が起こったためと考えられる。影響はダンパー設定の変化に比べてはるかに小さい。
したがって、豆の投入による排気への影響は実用上は無視してよい。

図5の①の測定結果について考察する。

この結果は、ダンパーの構造を反映したものと考えられる。

 図7に、ダンパーの位置と排気経路の開口状況を示す。
数字はダンパーの位置で、1がもっとも閉じた状態で9が最大である。
6の位置で拡大写真も示す。

 ダンパーの作りは単純で部分的に穴の開いた開口部が移動することにより開口部の面積が変化する。
写真では分かりやすくするため開口部の境に赤丸をつけた。1から9までスムーズに赤丸が移動する。しかし、1,2ではその変化が小さく、8でほとんど100%開口しており9での開口差は少ない。

1で全閉+α、8でほぼ全開、9で全開となる。
この開口部の変化により図5の排気特性になったものと考えられる。 さらに1であっても、写真ではわかりづらいが、スリットには隙間があり、完全には閉じてはいない。
これは機械精度の問題というよりも、安全設計のため意図して排気を完全には0にしないと考えられる。

 このように、図3のダンパー変化による排気特性が生じる原因はダンパー構造を反映したものであり排気コントロールとしては理想的な構造になっていることが理解できる。

 R101焙煎機の排気特性を把握するため、ダンパー開度1〜9で排気風量を測定しダンパー開度との関係、生豆投入の影響を調べ以下のことが分かった。

①ダンパー開度に対して排気風量はリニアに変化する。ただし8と9の差は小さい。

②ダンパー1でも約22%の排気風量が残り、構造上チャンバーを完全密閉できない。

③生豆投入による排気への影響は無視してよい(定格の範囲)。

素人の長い報告をここまで読んでくださりありがとうございました。
本研究に興味がある方がいらっしゃればご連絡いただけるとありがたいです。

1)ロースターズレポートⅡ_富士ローヤル1kg焙煎機R101~投入量による表示温度の変化、Difference between displayed temperature and bean temperature,R101,Fuji-Royal

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